みなさんお久しぶりです。D3の飯泉です。先日、筆頭著者として三報目の論文をOrganic Letters誌に出すことができました!
Palladium-Catalyzed Denitrative Synthesis of Aryl Nitriles from Nitroarenes and Organocyanides
Iizumi, K.; Tanaka, H.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Org. Lett. 2024, ASAP.
DOI 10.1021/acs.orglett.4c01118
本論文は、2021年のエステルのシアノ化に続き、ニトロアレーンのシアノ化をまとめたものです。
パラジウム触媒を用いたニトロアレーンの脱ニトロ型カップリング反応は、不活性な芳香族炭素-ニトロ結合の切断を伴う反応であり、今日では広く知られています。今回、私たちは、脱ニトロ型カップリング反応の求核剤にシアノ化剤を用いることでニトロアレーンからシアノ化体の合成に成功しました。本反応は、シアノ化剤としてアミノアセトニトリルを用いることが重要であり、従来に頻用される金属シアニドやTMSCNはほとんど反応が進行しません。またアミノアセトニトリルは、金属シアニドなどと比べて毒性が低いことや金属廃棄物の排出を抑えることができるため、クリーンな反応となっています。
シアノ化剤としたアミノアセトニトリルは、以前報告した芳香族エステルの脱カルボニル型シアノ化反応をまとめた経験から選定することができました。自分が日頃の研究で得た結果をもとに新反応へと応用できた今回の成果は、また少し成長できたなと実感できるきっかけにもなりました。この感情を忘れることなく今後も研究に打ち込んでいきたいと思います。
また、今回の論文は、田中宏樹くんの初の論文にもなっています。ニトロアレーンとシアノ化体の極性はとても近く、原料と生成物の分離はとても苦労を要したと思いますが、彼は精製はもちろん収率向上、基質適用範囲の拡大、加えて機構解明までしてくれました。お疲れさまでした! 田中宏樹くんは、今新たなテーマで研究を頑張っているので、学会などで見かけたときはぜひ応援お願いします。
最後になりましたが、いつもお世話になっている潤さん、慶さんにこの場を借りて御礼申し上げます。また、研究室のアドバイスしてくださった先輩や後輩のみなさんありがとうございました。
今後とも頑張っていくので、応援よろしくお願いいたします。
飯泉慶一朗
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