お久しぶりです。D2の宮﨑です。
少し前になりますが、宮﨑の論文がChemical Science誌にアクセプトされました!
Miyazaki, R.; Takada, F.; Kikuchi, T.; Oguro, Y.; Kamata, M.; Yukawa, T.; Kato, K.; Muto, K.; Yamaguchi, J. 2H-Thiazolo[4,5-d][1,2,3]Triazole: Synthesis, Functionalization, and Application in Scaffold-Hopping. Chem. Sci. 2024, 15, 15835–15840. https://doi.org/10.1039/d4sc03874f.
この論文はopen accessなのでどなたでもご覧になれるかと思います。
本研究は武田薬品工業株式会社との共同研究で、研究成果を論文化させていただく形となりました。
チアゾールと1,2,3-トリアゾールを縮環させた新規ヘテロ芳香環であるチアゾロ[4,5-d][1,2,3]トリアゾールの合成法を確立し、チアゾール側とトリアゾール側の2箇所を官能基化できることを示したのが本研究成果となります。
合成したチアゾロトリアゾールはチアゾール側に変換可能な官能基としてメチルスルホンを有しているのですが、これが想定していた以上に多彩な反応性を示してくれました。これもできる、あれもできる、と多彩な反応性が明らかになっていく過程はとても楽しかったです。
チアゾール側に官能基を導入した後は保護基を除去し、トリアゾール側の官能基化に着手したのですが、ここでは3つの位置異性体が生じました。これら3つの異性体の構造決定には苦労しました。チアゾロトリアゾール自体は水素原子を持たないため、1H NMRからは置換基の様子しかわかりません。しかし13C NMRから縮環部位の2つの炭素が異性体ごとに特徴的なケミカルシフトを示すことがわかり、異性体を判別することができました。最終的に単結晶X線構造解析で異性体の構造を確定できました。
なお、髙田さんと菊池さんがチアゾロ[4,5-d][1,2,3]トリアゾールの合成法確立に、宮﨑がチアゾロトリアゾールの官能基化に主に携わっています。
そしてこのチアゾロトリアゾールですが、なんと東京化成工業株式会社より市販化されることが決定しました!
自身の研究で取り扱った化合物が販売されるという非常に貴重な経験をすることができ、ありがたい気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいです。
既に販売が開始されているのでぜひご覧ください。使っていただけると嬉しいです!
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/M3881
論文アクセプトにあたり、潤さんからコメントもいただいているのでぜひこちらもご覧ください。
https://jyamaguchi-lab.com/newweb/project/shard
潤さんからお褒めの言葉をいただき大変光栄です。この記事が公開されてからのアップデートとして、無事に就活を終えることができました。まだまだ(変わってない?)影が薄いですが、博士号取得まで日々精進して参ろうと思います。
最後になりますが、共同実験者の髙田さん、菊池さん、武田薬品工業株式会社の皆様、単結晶X線構造解析でお世話になりましたカトケンさん、日々ご指導いただいている慶さん、潤さんにこの場を借りて感謝いたします。
宮崎龍也
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