太田英介です。1月13日~14日の2日間、サントリー生命科学財団主催の『 SUNBORグラント×生有研シンポジウム2026』にご招待いただき、講演してきました。
1日目
会場はサントリーワールドリサーチセンター。このセンター内の一角に生物有機科学研究所があります。錚々たる研究者に縁のある研究所に今回初めて伺うことができました。東京からだと新幹線に乗り、京都駅で近鉄線に乗り換えて30分、新祝園駅からタクシーで10分、でようやく到着。合計4時間半以上かかりました。リサーチセンターは10年ほど前に建てられたばかりで新しく、建物に入った瞬間、洗練された内装に圧倒されました。館内は各空間や各部屋ごとにテーマが設定されていて、オフィスと美術館が融合したような空間でした。
シンポジウム会場はエントランスのすぐ横。最初の講演だったため、試写を済ませたのち、そのまま開会となりました。Closedな会とのことで講演タイトルのみ記載しますが、サントリー生命科学財団の研究紹介の後、以下の先生方とともに登壇させていただきました。
光修飾グラフェンとクライオ電子顕微鏡を駆使した標的分子同定の試み
中村 匡良 先生 (埼玉大学):
合成受容体系を用いたジベレリンシグナルの時空間的制御と根の成長機構の解明
Ambara R. Pradipta 先生 (東京科学大学):
生体低分子は「薬」になるか?がん代謝物の有機反応を基盤とするがん診断・治療法の創成
倉賀野 正弘 先生 (室蘭工業大学):
量子ドットイメージングで迫る細胞表面におけるアミロイドβ凝集促進のメカニズム
岡谷 千晶 先生 (産業技術総合研究所):
糖鎖空間オミクスが拓く糖鎖の可視化と生命現象の理解
今回の講演内容は、もともと胡桃坂ERATOの共同研究の一環としてスタートしたテーマです。詳細はまだ話せませんが、クライオ電子顕微鏡を使って標的分子同定を試みています。立ち上げ初期は自分の手で進めていましたがProof of Conceptを示せたあたりから、指導補助担当学生の数も増え、徐々に手が回らなくなってきたので、一部化合物合成を卒業生の黒澤さんにお願いしました。その後は、同じく卒業生の田畑さんが引き継ぎ、自身のメインテーマとして進めてくれました。こうして多くの手を借りながら進めてきたプロジェクトも、ようやく論文投稿の段階に到達。今回ある程度まとまった形で講演することができました。
講演時間30分+質疑応答15分と質疑が長く設定されていました。内容が学際的だったこともあり、想定外の質問が飛んでくる覚悟で臨みましたが、学生さんの活発な質問も含め、アイデアの種になるようなやりとりが多く、非常に有意義な時間でした。また、休憩時間には講演者の先生方や所員の方々とも直接意見交換することができ、自分にとっても大きな学びのある機会になりました。
講演後は、所内で懇親会。西本正三 理事長のご挨拶のあと、サントリー式の「スコール!」で乾杯!(スコールは、ビールの醸造を学んだデンマークで使われている乾杯の言葉。バイキングが敵を討ち取った際に頭蓋骨を杯にして祝杯をあげた逸話に由来するそうです)。懇親会では、生有研の所員の皆さん、近隣の大学からの学生さんとディスカッションができ、和やかで充実した時間となりました。理研時代からのご縁である Ambara先生、岩田先生、高松先生もいて、アットホームな空間でした。学生向けのベストディスカッション賞も発表され、佐藤文彦 所長から賞状と副賞が贈られました。受賞された学生の皆さん、おめでとうございます!
- 西本理事長
- スコール!
- ベストディスカッション賞を取った上野くんと高松
- おめでとうございます!
- 想定外の挨拶
- にタジタジ
一旦お開きとなった後も、まだ料理が残っていたこともあり、研究所の皆さん・講演者の先生方と所内で小さな二次会。その後は、近くのホテルに宿泊しました。
2日目
翌朝、ホテルのバイキング会場ではAmbara先生とばったり会い、話しながら生有研へ。
- 朝食会場のレストラン
- 理研けいはんな地区
- センター内のエントランス付近にはガチャガチャ。セサミンをゲット。
午前中は、財団の方との意見交換からスタート。研究環境や「研究者の懐事情」について、忖度なしの本音で意見を述べさせていただきました。ちなみに山口研は学生が33人いるので毎年カツカツです。その後は所員の方々から研究紹介。藤川 紘樹 研究員には、糖脂質であるMPIase (Membrane Protein Integrase)がもつ多様な活性機構の解明に関する研究を紹介していただきました。糖鎖のもつ興味深い活性解明のためには有機合成化学が欠かせないことを改めて感じました。糖鎖合成は僕も博士時代に携わっていたので、紙面には出てこない苦労が伝わってきました。二つ目の研究紹介は菅原 孝太郎研究員から。イメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry)を使って、ビオラの花弁の発色機構を分子レベルで解明した研究です。対象を変えて色々な現象に応用できそうな技術だと思いました。続くランチ交流会では、理事長・所長も交えて研究環境について率直な意見交換。場所によって本当に様々だという事実を、あらためて実感しました。
- 藤川研究員
- 分析機器室
- 菅原研究員
- 生物実験室
- 化学実験室
- NMR室
帰り道では、講演者の先生方と「ステップアップ助成」について話題に上がりました。意見交換の場ではすっかり言いそびれてしまったので、ここに記しておきます。ぜひご検討をお願いいたします!!
今回のシンポジウムでは、有機合成化学とは異なるバックグラウンドを持つ研究者の方々とディスカッションでき、刺激的で貴重な経験でした。かねてより憧れだったサントリー生物有機科学研究所に伺えたことも個人的に嬉しかったです。
最後になりますが、シンポジウムを運営・企画してくださった サントリー生命科学財団の皆さま、そして、SUNBORグラントにご採択いただいたことに対して、あらためて心より御礼申し上げます。
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