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ACMS2025 に参加してきました

7月30日〜8月1日、沖縄で開催された国際会議 ACMS2025(The 2nd Asian Conference for “MONODUKURI” Strategy by Synthetic Organic Chemistry)に参加してきました。前回の ACMS2013の開催はなんと12年前。当時は僕は理研・袖岡研のD2の学生でしたが、今回は講演者として参加し、感慨深いものがありました。今回は「有機合成化学を起点とするものづくり戦略」メンバーの平井さんにお声がけいただきました。ありがとうございます。

初日:12年ぶりの沖縄

沖縄を訪れるのも12年ぶり。ちょうどハイシーズンということもあり、飛行機はほぼ満席でした。ちなみに…一番安かったのは JAL公式サイト。クラスJという少し広い席が、普通席よりも安く買えました。那覇空港からはリムジンバスで会場へ。バス乗り場は国内線到着ロビーを出て目の前にあります。「リムジン」の響きに期待が高まりましたが、いわゆる観光バスでした。チケットは当日も購入できますが、乗れないと困るのでオーライネットというサイトで事前予約。ただ、乗客はほぼ関係者で貸し切り状態。杞憂でした笑。バスに揺られること約50分、宿泊先のラグナガーデンホテルに到着。荷物を預け、徒歩10分ほどで会場の 沖縄コンベンションセンターへ。気温は東京と同じか少し低かった気がしますが、スコールの後は”蒸し風呂”のような湿度でした。

会場に到着すると、顔見知りの先生方も多く、アットホームなシンポジウムでした。なお、この日はカムチャッカ半島沖で地震があり太平洋沿岸部一帯に津波警報が発令されてました。Chairの田中先生が「会が始まった瞬間に避難かもしれん…」と心配されていましたが、幸い無事に講演が進行しました。未発表データも多かったので詳細には触れませんが、招待講演のみ一言で紹介します。1日目は以下の通りです。

Seung Hwan Cho:招待講演でトップバッターでした。PSRCでも話を聞きましたが、ジボリルメタンの反応性を引き出して展開する力に驚かされました。
Fu-She Han:アルカロイドの全合成。個人的にPTCを使った縮環骨格の構築が興味深かったです。
Sunkyu Han:英語が速くてついていくのが必死でした。Cho先生もそうですが情熱的なトークが圧巻でした。懐かしい構造式も出てきました。
Yanxing Jia:難関化合物群の超短工程合成。鮮やかでした。

反応(場)開発、構造有機、合成、ケムバイオと有機合成化学を起点とする幅広い分野の発表を拝聴し、最新の成果に刺激を受けるばかりでした。

講演後はホテルに戻り、チェックイン。ちなみに今回シングルがあまりにも高かったので、学生時代からの盟友である岩田を誘って参加しました。部屋に荷物を置き、Banquet会場へ。席の写真を撮り忘れたのが痛恨の極み。。。内田先生や高松とほぼ話していた気がしますが、その後は僕の学生時代の恩師である平井さん、照屋さん、河内さんを囲んで昔話をしてました。もう15年以上経つんですね、光陰矢の如し。。

二次会はバーラウンジへ。お世話になっている先生方との楽しい時間でした。薬学部の話が興味深かったです。解散して部屋に戻った後は岩田と一杯だけ飲んで就寝しました。

2日目:講演、ポスター、BBQ、そしてブルーシール本店

翌朝、ホテルの朝食会場に行くと入り口には行列が。オンライン予約ができるとチェックイン時に確かに言われたものの、へぇ〜としか思っていませんでした。この時期はほぼ必須だと一言欲しかった。。。とりあえずその場で予約しましたが、どう考えても講演に間に合わなかったので、コンビニで朝飯を買って会場へ(あとから聞いた話では洋食ではなく和食の方は入れたとのこと泣)。

二日目は朝から講演でした。
Ning Jiao:DMSOを使ったCHブロモ化、クロロ化、その後フッ素化も話してました。吉田先生のカルボニルα位ハロゲン化にインスパイアされたそうです。
Xuechen Li:フタルアルデヒドを使ったペプチド連結反応。SciAdvのSCF3化も話していました。ペプチド中の官能基の骨格変換も興味深かったです。
Gosuke Hayashi:NCLの深化を勉強させていただきました。鍵となるCys保護にはチアゾリジンやTFeAllocam。脱保護条件の精査で見いだされたAMDBHやRu錯体。これらの精緻な使い分けにより、最近ではPNA-scafoldにも適用可能のこと。
午前のセッションが終わったあとはランチとポスターセッション。ポスター発表では、小林先生もご発表されていた、増感剤にmethylene blueを使ったergosterolの酸素化が特に気になりました。現在はその後の展開を進めているとのことで、今後の展開が気になります。その後のセッションも面白く聞かせていただきました。論文で見れる日が来るのが待ち遠しいです。

夜のミキサーは、会場近くのトロピカルビーチで沈む夕日を見ながらBBQ。準備は学生さん達がしてくれました。ありがとうございます。ホテルに荷物を預けて合流したら、すでに賑わっており、岩田と空いていた外国人研究者の席へ。Ning先生やJia先生らと初めて話すことができました。そのあと、Man-Kin Wong先生とじっくり話す機会もあり、香港の研究事情などを聞かせていただきました。

その後、橋本さんにお誘いいただきブルーシール本店へ。徒歩40分の距離だったので、綺麗な夕焼けを眺めながら、海岸沿いの道をレンタサイクルで疾走。ブルーシール牧港本店は国道沿いにあり、大きな看板が目印の店舗でした。創業初期の様子を再現している店内はアメリカンな雰囲気。まずはアイスを食べて一休み。その後、研究室のお土産用に36人分のアイスを購入しました。ちなみに橋本さんは僕よりも大量のアイスを爆買いしてました。

その後ホテルに戻り二次会へ。ちょうどエントランスで平井さん、内田さん、岩田と遭遇し、少し僕らの部屋で雑談。その後、二次会に向かいましたが、村上研の戸口君とずっと話してました。解散して部屋に戻ったあと、岩田は下山さん、高松と2時まで飲んでたそうですが、僕は翌日朝発表だったのでこの日は大人しく就寝。

3日目:発表と沖縄観光

前日の教訓を生かし、起きた瞬間に朝食の予約笑。1時間待って念願のビュッフェを堪能できました。ただし15分だけ苦笑。でもその場で作るオムレツもサラダバーも洋食のおかずも確かに美味しかったです。

三日目は、Man-Kin Wong先生の選択的なペプチド修飾の講演からスタート。次に河内さん、僕の順番でした。ちなみに座長は平井さん。ピロリジンのC–N開裂と最近の進捗について話しました。講演後はいくつか質問していただき終了。その後は丹羽さん、内田さん、Hsyueh‐Liang Wu先生方の講演を拝聴しました。

表彰式では、以下の皆さんが受賞されていました:

—Poster Presentation Award—
Kaito Morita (Nagoya University)
Hinata Togo (Osaka Institute of Technology)
Kazuki Terashima (Institute of Science Tokyo)
Hikaru Kimura (Kanagawa University)
Tetsushi Suzuki (Kyoto University)
Yamato Ezo (Kyushu University)
Shunya Tojo (University of the Ryukyus)
Shota Banno (Toyama Prefectural University)

—BCSJ Award for Poster Presentation—
Ryuichi Sumida (The University of Osaka)

—Chemistry Letters Young Researcher Award—
Airu Hashidoko (The University of Tokyo)

受賞者の皆様おめでとうございます!!

解散後、山東研の齋藤くんと学生さんが観光に行くとのことで、急遽ご一緒させていただくことに。国際通りでステーキを食べ、ブルーシール(2回目)を食べ、お土産を買って沖縄を満喫。突然の参加にも関わらず、快く受け入れてくださりありがとうございました!

最後になりますが、本会を企画・運営された、田中先生(Chair)、辻先生(事務局)、照屋先生、アンバラ先生、ものづくり戦略の先生方、そして暑い中、運営を担ってくださった学生の皆様に、心より感謝申し上げます。

もしもまた十数年後にACMSが開催されるときは、より「ものづくり」に貢献できる成果を持って沖縄に行きたいと思います。

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太田英介
趣味は唄うこと、バドミントン、ランニング、路地裏巡りなど。守破離の精神をモットーに異分野をつなぎ、ニッチな世界で先駆者を目指す。まだ見ぬ分子・隠された機能・未開の反応形式を夢見ながら、学生たちとより多くの感動の瞬間を分かち合える研究者でありたい。

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