結合交換反応

芳香環交換反応を利用したスルフィド合成法の開発

Ni-Catalyzed Aryl Sulfide Synthesis through an Aryl Exchange Reaction

Isshiki, R.; Kurosawa, M. B.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
J. Am. Chem. Soc. 2021, ASAP.
DOI 10.1021/jacs.1c04215

今回の研究では、独自に開発したニッケル触媒(Ni/dcypt)と芳香環交換反応という概念を用いて、新たな芳香族スルフィド合成法の開発に成功しました。取扱いが容易な無臭の芳香族スルフィドをスルフィド化剤として使おうというユニークな発想のもとに生まれた新反応です。今回の研究により、医薬品などを含む40種類以上の化合物を様々な芳香族スルフィドに変換可能であることが分かっており、悪臭問題を解決できる斬新な芳香族スルフィド合成法を提供することとなります。

なお、後日、本論文の一部に関する解説論文(?)をTrends in Chemistryに発表しました 。
Aryl sulfide synthesis via aryl exchange reaction
Muto, K.; Isshiki, R.; Kurosawa, M. B.; Yamaguchi, J.
Trends Chem. 2022, in press.
DOI: 10.1016/j.trechm.2022.09.002

 ようやくでました!一色君これまでたーくさん論文だしてますが、実は初JACSファーストオーサーです。かなり時間がかかりましたがきれいにJACSに通すことができました。一色・バブルコンビは2報目です。このコンビは相性がいい?最初はまとまりがない収率が悪いなどでどう落とし込むか悩みましたが、エステルだけでなく他のアリール化剤に広げることで基質の一般性も大幅向上。そして、このピリジルスルフィドの発見が素晴らしい。おかげで、無茶ばかり言うPIは、最近はなんでも反応が進行するんじゃないかという錯覚に陥っています。エステルダンス・芳香環交換反応・脱酸素型カップリング反応と、脱カルボニル型反応から非線形的に生み出すことができた3つの反応。このなかで芳香環交換反応だけがプルーフオブコンセプトしか示せてなかったので、今回の論文で有用性を示せて大満足です。

ちなみに一色君、格段に面白い反応を最近発見し、夏を目処に研究室の主要メンバーをの全精力をつぎ込んで次の論文作成に邁進しているところです。さすがD3、さすがエース。最後に有終の美を!とりあえず今回はおめでとう!

山口潤一郎

関連リンク

早稲田大学ホームページ悪臭問題に解決策 芳香環交換反応を利用したスルフィド合成法の開発 ~独自の金属触媒でスルフィド類の芳香環を付け替える~

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