Catalytic Reductive Homocoupling of Benzyl Chlorides Enabled by Zirconocene and Photoredox Catalysis
Ryota Tajima,§ Keisuke Tanaka,§ Kazuhiro Aida, Eisuke Ota,* and Junichiro Yamaguchi*
Precis. Chem. 2024, ASAP
DOI: 10.1021/prechem.4c00077
ビベンジル骨格は、多くの天然物やその他の生物活性化合物に広く見られる。ラジカルホモカップリングは、ビベンジルを一段階で合成できるアプローチであり、ベンジルハライドの還元的ホモカップリングは発展してきた。可視光駆動型のホモカップリングにおいて頻用されるベンジルブロミドや他の特殊な前駆体とは異なり、ベンジルクロリドはより豊富で化学的に安定である。しかし、C–Cl結合の化学選択的な開裂は依然として課題であり、これまでの報告例は限られていた。本研究では、ジルコノセン/可視光レドックス触媒を利用したベンジルクロリドの還元的ホモカップリングを提供した。この協働触媒系により、温和な条件下でベンジルクロリドのC–Cl結合が切断され、医薬品誘導体を含む幅広いベンジルクロリドのホモカップリングが達成できた。また、反応機構解明研究より、触媒サイクルにおけるヒドロシランの重要な役割が明らかとなった。
一期生の大北くんが進めていた脱塩素型反応で見つけた副生成物が発端になったプロジェクト。しばらく寝かしておいたのですが、先行研究がまとまった段階で田中啓介くんにで進めてもらい、昨年秋から田島くんが引き継いでまとめてくれました。確かに副生成物としてビベンジル取れる報告は数多くありますが、ベンジルブロミドと比べてベンジルクロライドは扱いやすい上、ある程度複雑な化合物を一工程で二量化できれば面白い反応になるだろうと思って論文化。実際には当初の想定ほど何でも二量化できる反応にはなりませんでしたが、田島が新しいテクニックを身につけてに挑戦した機構解明のおかげで、ジルコノセン/可視光レドックス触媒系における新しい知見も得られました。個人的には満足しています。リバイズも苦労しましたが、最終的には先行研究と同じPrecisionChemに投稿しアクセプト。田島、会田おめでとう!!
太田英介