遷移金属触媒反応

芳香族ケトンの脱アシル型カップリング

Versatile Deacylative Cross-coupling of Aromatic Ketones
Nakahara, H.; Isshiki, R.; Kubo, M; Iizumi, K.: Muto, K.; Yamaguchi, J.
Chem. 2024 online now.
DOI 10.1016/j.chempr.2024.07.002

アリール求電子剤と求核剤の間のクロスカップリング反応は、多くの医薬品や化学物質に見られる置換芳香族化合物の合成に不可欠です。しかし、芳香族ケトンはその強固なC–C結合のため、アリール求電子剤として使用するための切断が困難であるため、重要な課題を呈しています。

これに対処するために、私たちはクライゼンおよび位置選択的逆クライゼン縮合反応に注目しました。これらの反応を使用することで、芳香族ケトンを芳香族エステルに変換できます。これらのエステルは、異なる求核剤と脱カルボニルクロスカップリング反応を行うことができ、有用な置換芳香族化合物に変換されます。このアプローチにより、芳香族ケトンをアリール求電子剤として効率的に使用できる簡便なワンポットプロセスが可能となり、クロスカップリング反応技術の大きな障壁を打破します。

 着任以来取り組んできた、汎用官能基切断型クロスカップリング反応の集大成です。卒業生の一色くんが発見、そのベースを、その段階で他のプロジェクトを進めていた、飯泉・中原・久保エース級を一時的に注ぎ込んで3ヶ月で仕上げました。しかし、論文投稿の段階で停滞。なんだかすっきりせず、そのままの状態で1年以上寝かせました。その間、中原くんが研究を進めてくれて、ようやくスッキリと説明できるようなったので、論文を書きました。論文の投稿先はいろいろ考えましたが、枚数などに制限がなく、相性がいいChemを選択。スムーズに査読に回り、査読結果が。なんと、絶賛のもとに完勝!リビジョンも1日で終わりました。

研究はさらに進み、これよりも面白い結果を中原くんが得ています。今年中に出したいと思いますので楽しみにしていてください。おめでとう!

山口潤一郎

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