日に日に寒さも増し、秋の陽だまりも恋しくなる季節となりました。
こんにちは、B4の久田です。今年の夏に書いたe-maのど飴の記事が皆様に多くご覧いただけているようで大変うれしく思います。しかし時が過ぎるのははやいもので、あっという間に12月です。年末にはクリスマス、忘年会、大晦日などのイベントが立て続けにやってきますから、お酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか。
ところで皆さんはどんなお酒がお好きですか?B4の高原くんはウイスキーが大好きみたいですが、私はワインとか果実酒のような甘めのお酒が好きです(辛口のワインも好きですよ)。しかし、ウイスキー同様、ワインも良いモノを買おうとすると値が張るといいますか、学生身分にとっては少し高いですよね。でも果実酒は安い値段で売ってますし、なにより自分で作ることもできます。そこで今回は果実酒のお話をご紹介いたします。
そもそもお酒をつくっていいの?
先に果実酒は自分で作れると言いましたが、お酒を作る際には酒税法という法律が絡んできます。まずこれについてざっとご説明いたします。
酒税法はお酒の製造や販売に関して規定した法律で、その中では酒類製造免許がない状態での酒類の製造を原則禁止しています。ここで酒類というのは、アルコール度数が1%以上の飲料のことを指します。したがって、お酒と呼べるほとんどのものが酒類に入り、果実酒ももちろん酒類です。また、酒類製造免許を得るには多くの審査を受けなくてはならず、年間最低製造量も定められていますから、趣味のお酒作り程度で酒類製造免許をとるのは困難です。
このようにみると、個人で果実酒を作ることはできそうにありません。しかし原則禁止と書いたことから分かるように、例外的に製造が許可されるケースがあります。
果実酒は一般的に、既存のお酒に果実を浸して放置することで作りますが、この時に浸けるお酒が20度以上であることが大原則です。つまり、度数が高いお酒で浸ければまずは大丈夫ということです。
次に、浸けるものについても規定があります。それは、①米、麦、アワ、トウモロコシなどの穀物およびデンプンや麹、酒かす、②ぶどうや山ぶどうなどのぶどう類、③アミノ酸、ビタミン、核酸分解物や色素、香料、塩などの無機塩類は浸けてはならない、というものです。常識的に浸けるものから考えると、穀物とぶどうは浸けてはいけないということになります。
また、作ったお酒を販売することはできません。ですが個人で楽しむのはもちろん、家族や知人に無償で提供することはできます(知人に対する無償提供は2007年6月に、合法であるとの見解が政府により示されました)。
以上のことを守らなければ酒税法違反となり、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。こわいですね。
たとえば、ホワイトリカーで浸けた梅酒は大丈夫?―――はい、ホワイトリカーが20度以上なら大丈夫です。
じゃあ上の画像のようなサングリア(赤ワインにオレンジなどの果物を浸けたお酒)は大丈夫?―――いいえ、ワインでアルコール度数が20度を超えるものはほとんどないため無理です。
今までに浸けた果実酒たち
酒税法を守った上でなら、果実酒を作ることに何のためらいを感じることもありません。ガンガン作れます。私は全て50度のウォッカで果実酒を浸けているので全く問題ありません。
果実酒の作り方は簡単で、瓶の中に洗った果実を詰め、そこに氷砂糖をごろごろ入れて、あとは上からホワイトリカーを注ぐだけです。ただし雑菌が入ることを避けるために、瓶は熱湯で消毒し、果実はできるだけ傷んでいないものを使いましょう。
果実酒の王道は梅酒なのですが、梅酒は店頭で買えますし、きっと市販のものの方がおいしいので、私はあえて違う果実を浸けています。
まずは一番浸けている歴が長いりんごの果実酒です。
このリンゴの果実酒は、2015年の2月から浸けているのでそろそろ浸けてから3年が経とうとしています(私は1年浪人しているので、浸け始めの時点で20歳になっています)。
普通、果実酒を作るときには、ある程度果実を浸けた後には果実を取り出します。なぜなら、あまりにも長い間果実を入れておくと澱(おり)がでてきて味にえぐみが出てきてしまうからです。ですが、澱がいつまでたっても出てこないので放っておいた結果、コンポートのようになっていしまいました。
次に長く浸けているのが、ももの果実酒です。
ももは2015年の8月頃に浸けたもので、これもかなり長く浸けてあります。ももが黒ずんでいますが、このアルコール度数なので基本的に腐敗することはありません。
こちらは比較的最近浸けたもので、メロンの果実酒です。
贅沢に1玉まるまるつけてしまいました。最近とはいえ、1年くらい前に浸けたものです。皮を入れようか悩んだのですが、しっかり洗って入れることにしました。
そしてちょっと変わり種として、コーヒーの果実(?)酒です。
コーヒー豆がたくさん入っているのですが、真っ黒になって見えなくなっています。蓋をあけると大変強いコーヒーの香りが立ち上る濃厚なお酒になっています。
以上、4つの果実酒を現在浸けております。どれも度数が結構高いので(果実の水分で半分程度にはなりますが……)ガバガバは飲めません。この頃は飲んでいないので、どんな味になっていることでしょうか……。
では果実酒を頂きましょうか
せっかく皆さんにここまでご覧いただいたのですから、その味をお伝えしないわけにはいきません。そこで久しぶりに自家製果実酒を頂くことにしました。
まずはりんごの果実酒をいただくことにしました。色はアップルジュースですね。口にふくむとシードルのような香りが広がりますが、それよりも生りんごをかじったときのような味と、つよいアルコールによる刺激があります。レモンを入れているので、酸味と甘味がいい塩梅となっています。
ももの果実酒はもともとの果実の色の差のせいか、りんごのものよりも少し薄い色をしています。味もりんごよりずっとあっさりとしていて、もものやさしい甘味と香りがします。私はりんごよりももの方がおいしいと感じました。
メロンの果実酒は、作ってから一度しか飲んだことがなかったので、どんな味になっているか緊張しました。色はりんごやもものものと同じような黄色ですが、それらよりも黄緑色がかった色をしています。飲んでみると、メロンの香気が口中に広がりました。アルコール特有の刺激もほとんど感じず、大変おいしく出来上がっています。果実酒の作り方を紹介しているサイトやブログでは、メロンの果実酒を作るのに失敗するときゅうりのようなにおいがして、およそ飲めたものではなくなるという指摘も見かけましたが、全くそのようなことはなく、高貴なメロンの香りで幸せになれます。個人的にはこれが一番おいしかったです。ちなみにメロンときゅうりは共に同じウリ科キュウリ属の植物で近縁です。きゅうりの臭いの成分の一つとして(E,Z)-2,6-ノナジエナールが含まれていますが、メロンにも同様に含まれているようですから、このにおいが前面に出てきてしまうとおいしくなくなってしまうということなのでしょう。
そして最後にコーヒー酒を頂きました。まず蓋を開けた途端に広がるコーヒーの香り。豆そのものよりもコーヒーよりも強い香りです。色も真っ黒で、エスプレッソよりも濃く見えます。思い切って写真の瓶をすべて口に含むと、鮮烈なコーヒーの苦みとコク、そしてのどの焼けるような熱さを感じました。実は他の果実酒と違って、コーヒー豆には水分がほとんどないため、ウォッカの度数がそのまま保持されているのです。飲んだ後もしばらく口の中がコーヒーの味がしました。
果実酒を作るたのしみとは?
ここまで果実酒についていろいろ申し上げましたが、何が楽しいのかというと、おいしくなるまで待っている過程にあります。
果実酒は浸け始めてから2か月ほどで楽しめるくらいの味になりますが、長く置いておくだけ味が変化していきます。果実の種類によって、長く浸けすぎない方がおいしいモノもあれば、時間が経つにつれておいしさが増していくものもあります。その過程をちょびちょび飲みながら楽しむというのは、なかなか乙なものです。もちろん果実酒の魅力は味のみに非ず、色も香りもまた楽しめるところです。たとえば今回ご紹介したコーヒー酒は、香りを楽しむには本当に良いものです。コーヒー酒にミルクを入れて、カルーアミルクのようにしたらもっとおいしく頂けるかもしれませんね。また、一風変わった果実を浸けてみるのも素敵だと思います。これからの季節ですといちごが旬を迎えますから、いちごの果実酒なんてつけてみるのはいかがでしょうか。お酒の色もきれいな赤色になると聞いておりますので、色でも楽しめる果実酒になりそうです。
というわけで私もこれ以上飲めませんので、再びお酒たちにはしばしの眠りについていただきます。果実酒を保存する際には、アルコール度数が高いために冷蔵庫で保存しなくても大丈夫ですが、涼しくて直射日光の当たらない場所で保存した方がいいと思います。私はクローゼットの中に保存しています。
ごちそうさまでした。
そういえば、研究室内で風邪が流行っています。急に冷え込んで来ましたので風邪をひきやすくなっているのだと思います。皆様も体調には十分お気をつけて年末をお過ごしくださいませ。
久田智也
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しれませんが、コーヒー酒はそのまま飲むお酒ではなくて、ホワイトリカーでつけたなら2:8くらいに水でかなり薄めて飲むと美味しいアイスコーヒーのように感じますよ。牛乳で割ってもとても美味しいです。とにかく割る量をハイボール以下くらいの感覚で割らないといけません。