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David Sarlah研留学体験記 part 1

こんにちは!D2に森田です。
2026年1月から3月にかけて、ライス大学のDavid Sarlah教授(ケムステ研究室ホームページ)のもとに留学してきたので、その時の様子を書かせていただきます!
今回はpart 1として研究編になります。留学に向けての準備から、ライス大学とSarlah研の様子を紹介したいと思います。

留学に向けて

まずは留学までの流れを簡単に。
5月:初めてのコンタクト
7月:事務とのやりとり開始
8月下旬:英語能力確認面接
9月上旬:DS-2019取得
10月中旬:VISA取得、航空券購入、宿泊先決定
11月中旬:東京海上日動火災保険加入(早稲田大学指定)
1月-3月:留学

David Sarlah研は世界的にハイレベルな研究室で、Sarlah教授による脱芳香族化を活用した先進的な研究、とりわけhirsutellone Bの全合成における革新的なアプローチに強く感銘を受けて、Sarlah研に留学することを決めました。
また、研究室のホームページ上で公開されている抄録会資料からも、有機化学における研究水準の高さがうかがえます(研究室HP)。

最初にSarlah教授にメールで連絡したのは5月下旬でした。メールをしてから1週間ほどで返信が返ってきて、快く受け入れてくれました!
そこから1か月後に事務の方から連絡が来て、J-1 Scholarの申請フォームを提出するように言われました。ここからはVISA取得に向けた書類準備期間に入ります。

ライス大学の場合、VISA取得には
・DS-2019  ・DS-160  ・SEVIS I-90
が必要になります。DS-160は米国大使館のホームページから取得が可能で、アメリカへの渡航履歴などを入力します。僕は幼少期にハワイ、グアムに行ったことがあるようだったので(覚えていないくらい小さいとき)、渡航日程を調べるのにアルバムを遡ったりして、入力に4時間かかりました。SEVISは申請料を支払えば、すぐに取得することができます。一番大変なのは、やはりDS-2019でした。
ライス大学の場合、DS-2019を取得するために必要なのは、
・パスポート  ・J-1手数料領収書  ・英語能力証明書  ・銀行口座残高証明書  ・ISI保険加入証明書
です。ここでは、英語能力証明書について説明します。ライス大学へJ-1 Scholarとして留学する場合、事務員とのオンライン面接があります。面接内容は、まず研究内容を含めた簡単な自己紹介と簡単な雑談で始まります。その後は、研究室での安全に関するサイトのリンクが送られ、それを熟読するように言われます。この間は、事務員は無言です(5分くらいでしたが、すごい長く感じました、、)。読み終わったら、その内容から2つほど質問を受け、オンライン面接は終了です。リーディング、リスニング、スピーキング全てが試されるような感じでした。証明書は面接後二週間程度でメールで送られてきました。
書類を全て提出し、DS-2019が手に入ってしまえば、後はVISA面接を残すだけです。
VISA面接は完全予約制のため、書類準備後すぐに受けられるとは限りません。VISA面接は二段階に分かれていて、DS-2019を含めた書類の確認と、英語面接です。英語面接は想像していたものと異なり、個室での1対1の面接ではなく、チケット売り場のようなブースで流れ作業感がありました苦笑 面接内容も格式張ったものではなく、僕の場合は、留学先、留学目的だけかと思いきや、好きな化学者はだれかまで聞かれました笑
VISA面接が終了すると、”Rejected”と書かれた紙を渡されます。最初は焦りましたが、これは一時保留の意味で、面接後の書類審査待ちを意味しています。同時期に留学準備をしていた同期は3日ほどで面接結果が出たのに対して、僕は3週間かかりました。ちょうどトランプ大統領就任の時期とかぶったためと思われますが、本当にリジェクトされたと思いました、、

VISAを取得したため、航空券と宿泊先を決定し、1月1日 10時羽田空港発の便で飛び立ちました!

ライス大学

ライス大学はアメリカ・テキサス州南部のヒューストンにあります。ヒューストンといえば、やはりNASAを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。漫画『宇宙兄弟』が好きな僕にとっても、以前から一度は訪れてみたい憧れの街の一つでした笑。実際に空港の「Houston」の文字を見たときは、本当に来たんだなと少し感動しました。

テキサスと聞くと広大な土地や自然豊かな風景をイメージしますが、ライス大学もまさにそのイメージ通りでした。大学の周囲は大きな公園や緑に囲まれており、キャンパス内も木々や芝生がどこまでも広がっています。正門から最初の建物まで歩くだけでも5分ほどかかり、日本の大学とはスケールの違いを感じました。1枚目の写真のように、建物の前は一面芝生で、さすがアメリカと思わず感じてしまいました。

キャンパス内の建物も非常に美しく、歴史あるヨーロッパの建築を思わせるような落ち着いたデザインで統一されています。レンガや石造りを基調とした建物が並び、どこを歩いても絵になる景色ばかりでした。大学内の売店へ向かう何気ない移動時間でも、つい周囲を見回してしまうほど雰囲気が良く、こんな環境で学べるのがうらやましいなと感じました。

また、キャンパス内には本当にたくさんのリスがいました。日本では大学構内で野生のリスを見る機会はほとんどありませんが、ライス大学では芝生や木の上を走り回っており、慣れてるのか人が近づいてもあまり逃げません。

僕がお世話になったSarlah研は、ライス大学北側にあるDBH(Dell Butcher Hall)という建物にあります。留学中はほとんど毎日この建物で過ごしていたので、最も思い出深い場所です。DBHでは月に一度、建物内の学生や研究者向けに無料のランチイベントが開催されていました。タコスやカレーなど大学近くのお店が料理を提供してくれて、普段はなかなか話す機会のない他研究室の学生やポスドクとも交流できる貴重な場になっていました。

同じライス大学で有機合成化学の研究を行っているHans Renata教授の研究室は、GRC(George R. Brown Hall)という建物にあります。DBHからは少し離れていますが、月に一度のSuper Group Meetingではライス大学の有機合成研究室が集結して、天然物や医薬品の逆合成解析をして、それを発表することがありました。

ライス大学の図書館も印象に残った場所の一つです。館内にはジョン・F・ケネディ大統領の有名な演説を記念した像が展示されていました。ライス大学は1962年、ケネディ大統領が「We choose to go to the Moon(われわれは月へ行くことを選ぶ)」という歴史的な演説を行った場所としても知られており、宇宙開発との深い関わりを感じることができます。また、これまでライス大学にゆかりのあった宇宙飛行士たちの写真や紹介も展示されており、NASAのあるヒューストンならではの雰囲気を感じました。

David Sarlah研

Sarlah研はDBHの2階と3階に研究室を持ちます。研究室の大きさもテキサスのイメージとピッタリで、一人あたりの実験台も今の山口研の3倍あり、一人一つのドラフトも使えました。
Daveは基本的には居室でデスクワークをしており、居室の扉が開いているときはいつでも話しかけて、ディスカッションが初められるような環境でした。
Sarlah研は実験だけでなく、勉強会の質が非常に高い印象でした。留学中はDaveとのディスカッションとは別に週に3回Meeting(月曜:Synthesis Meeting, Literature Meeting, Leadership Meeting (隔週)、金曜:Group Meeting、土曜:Junior Meeting)があり、簡単に内容を紹介します。

Synthesis Meeting:天然物もしくは医薬品化合物の構造式だけが初めに提示されて20-30分程度で逆合成解析をし、前にでて発表する。その内容に対してDaveが指摘をする。
Literature Meeting:直近の有機化学論文があらかじめ6-8報提示され、その内容を発表し議論する。発表者は直前にDaveがルーレットをして決まるため、提示された論文は全て深く理解してないといけない。
Leadership Meeting:優秀な化学者になるために必要な要素について話し合う。トピックはDaveが決め、学生がスライドを作成する。
Group Meeting:研究室HPのSeminarにあがっている抄録をやる。毎週二人ずつ。Process, Synthesis, Drug, Method, Techniqueなどのトピック。抄録のあとは研究報告会(毎回二人、4か月に一回の周期)。
Junior Meeting:やることはSynthesis Meetingと同じく逆合成解析。化合物はポスドクが選び、1st–3rd yearの学生(日本で言うM1, M2, D1)が参加する。

留学中はSarlah研のポスドクや学生と楽しい交流ができました!特に同じ研究テーマのSayanとは毎日のようにディスカッションをして、多くのことを学びました!研究で行き詰まったときや生活で困ったときはいつも相談に乗ってくれてとても助かりました。同じ実験室で研究をしていたFrancescoとNickは化学が非常にできるムードメーカーです笑 朝少し早く来るFrancescoとVareriaと僕の三人でよく話していました。Nickとはアニメの趣味が一緒で、留学中にNetflixで配信されていたONE PIECEの実写版の話で盛り上がりました。英語版と日本語版でタイトルが違うようなアニメもあり勉強になりました。Julioは居室のデスクが近く、留学中はQEの準備でよく居室にいたため、休憩中によく話していました。8月に日本に遊びに来るそうで会うのが楽しみです。Chein-Yiは日本人が大好きで、なぜかくだらない日本語ばかり知っていました笑 化学のディスカッションにすごい熱心で、彼の得意な逆合成手法はRh触媒を使った林-宮浦反応です笑 AaronはMeetingのときだいたい隣の席で、アメリカで流行ってるおもしろ動画をよく教えてくれました。EricもJulioと同じく居室デスクが近く、最新の論文が投稿されては、それについて話していました。ポスドクのSabnamとAnkushはJunior Meetingで逆合成解析について一緒に議論し、化学の知見を広げることができました。

Super Group MeetingではRenata研(研究室ホームページ)との交流がありました。Renata研から出ている酵素を駆使した全合成論文は非常に興味深くいつもチェックしていたため、Hansと直接お会いすることができたのは非常に光栄でした!また、Renata研には日本人もいて、名大西川研出身の宮坂さんと、北里大砂塚研出身の金井田さんにも会いました!何度か一緒に食事に行き、生活面でお世話になりました。ありがとうございます!学会などでまたお会いできるのを楽しみにしています!

留学中はMyles Smith助教授(研究室ホームページ)が講演会にお越しいただいて、山口研の抄録会でも扱ったAnnotinolide Bの全合成の話を聞くことができました。

以上、研究編でした!次回はpart 2として留学中の生活について紹介したいと思います。

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森田直樹

D1 (LD3)山口研究室
趣味:バイク、ランニング、登山

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