6月の出張第一弾は岩手大学。6月4日から6日にかけて開催された「デジタル有機合成」主催の若手セミナーに呼んでいただき、講演してきました。
本会の趣旨は以下の通り
科学技術の進歩は、多様な研究手法を創り出し、有機化学に新たな展開をもたらしている。この100年余り変わることのなかったバッチ合成に加え、フロー合成、電解合成、自動合成、光照射、DFT計算、機械学習など、この20年の間に、様々な手法が複合的に取り入れられ、従来では困難とされていた分子が驚くようなスピードで合成されるようになってきている。このような有機化学分野の変革を受けて、今回『AI 勉強会+若手セミナー@岩手大学』では、日本の有機化学の新たな潮流を先導し、次世代を担う研究者が岩手大学に集い、若手研究者へのデータ駆動型有機合成の啓蒙、及び若手研究者の研究発表を行い、今後の日本の有機化学の未来について議論していく。
……、「ん?太田の研究“デジタル”だったっけ?」と思われた方もいるかもしれませんが、ご安心ください。私も同感です苦笑。光照射して、たまにDFT計算もするのでぎりぎりセーフだったのかもしれません。
盛岡初上陸
当日は朝に東京を出発し、人生初の盛岡駅に降り立ちました。まずは腹ごしらえに、(百)名店「盛楼閣」で盛岡冷麺(大盛)を注文。もちもちの麺が喉ごしよく、あっという間に完食。
- いざ盛楼閣へ
- 落ち着いた店内
- 冷麺(大盛り)
続いてホテルに荷物を預け、会場である岩手大学・理工学部の銀河ホールへ。築浅の建物は綺麗で、全席にコンセントとPC用の台が完備されているという仕様に一番驚きました。
- 銀河ホール
- 看板
- ホールは綺麗でした
若手セミナー
セミナーは大嶋先生の開会挨拶でスタート。
初日は以下の3名の先生による講演が行われました
大塚 尚哉 先生(分子科学研究所)
佐藤 玄 先生(東京大学)
林 周斗 先生(東京科学大学)
有機反応起点とした新規π共役分子の創製、計算化学を利用したテルペン環化酵素の反応機構解析、そしてロボティクスも活用したde novo タンパク質設計プラットフォームの開発と、有機合成主体の学会では絶対に聞けないような内容で、興味深く講演を聴かせて頂きました。そして皆さん、しっかり“デジタル”……!
休憩を挟んだあとは、参加者全員のショートプレゼン。野田さんは朝からランニングしていたと聞き驚きました。
会場を移動して大学の食堂で懇親会。食べきれないほど豪勢でしたが、特に是永先生にご用意して頂いた岩手産のローストビーフは本当に絶品でした。ありがとうございました!
二次会は神代さん、藤波くん、大塚さん、納戸さん、林さんとともに、盛岡駅方面へ歩いて移動し若手メンバーで乾杯。写真撮り忘れた……。その後、大嶋先生、笹野さん、野田さんと合流し、クラフトビールのお店で三次会。開始はほぼ23時。さすがに1時間で解散しました。
翌朝9時からは自身の発表。可視光駆動型の結合開裂反応について話しました。学生さんからの質問もいくつかあり、嬉しかったです。その後、
高須賀 聖五 先生(奈良先端科学技術大学院大学)
納戶 直木 先生(名古屋大学)
と発表が続きました。機械学習を活用した高分子フロー合成および電子ラボノートの活用、そして、光増感反応の触媒探索のための機械学習について話されてました。
……えぇ、非”デジタル”はやっぱり一人だけ笑
セミナー終了後、最後の締めは、納戸さん・林さんと一緒に食べた盛岡名物「じゃじゃ麺」。濃厚な味噌と太麺がクセになる一杯でした。最後はもちろん、「チータンタン(スープ)」で締めくくりました。
- 盛岡名物じゃじゃ麺
- 林さん・納戸さんと
おわりに
今回のセミナーは、最新の“デジタル”技術を駆使した未来の有機合成を垣間見たような、ワクワクするものでした。一方で、まだ「人間の勘」の方が優れる場面も数多いという意見は印象的でした。
最後になりましたが、領域代表の大嶋先生、世話人の是永先生、滝澤先生、笹野先生、そして会場準備をしてくださった岩手大学の学生さんに、心より御礼申し上げます。
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