脱カルボニル型反応

エステルからの脱カルボニル型エーテル合成

Decarbonylative Diaryl Ether Synthesis by Pd and Ni Catalysis
Takise, R.; Isshiki, R. Muto K.; Itami, K.; Yamaguchi, J. J. Am. Chem. Soc. 2017, ASAP
DOI: 10.1021/jacs.7b00049
Highlights 化学工業日報  日経産業新聞  Phys.org  c2W ScienceDaily,  CAMPUS NOW 新緑号(2017年)

 

ジアリールエーテルは医薬品や天然物などに頻繁にみられる重要骨格で、新しい合成法の開発が望まれている。現在では信頼できる手法としてアリールハライドとフェノール類との銅もしくはパラジウム触媒をもちいたクロスカップリングがほとんどである。今回、我々は、パラジウムもしくはニッケル触媒を用いたエステルからの脱カルボニル型エーテル合成を世界で初めて発見した。我々が独自に開発したdcyptという触媒が反応を圧倒的に促進することが明らかとなっており、フェニルエステルから形式的に脱一酸化炭素反応により対応するジアリールエーテルを与える。この反応はグラムスケールでも良好な収率で進行する。分子内のエーテル化反応だけでなく、外部からフェノールを添加すると、クロスエーテル化反応も進行する。このように、反応形式が単純でわかりやすい、全く新しいエーテル化反応を開発することに成功した。

早稲田に移って、初めてのJACSアクセプト!研究の中心は、名古屋に残してきた、博士課程2年の瀧瀬瞭介くん。同じ2年の鈴木真くんとともに僕のいまの研究の両腕です。瀧瀬くんは触媒開発のリーダを担ってくれています。彼がみつけてくれた反応を、早稲田の4年生の一色遼大君とともに仕上げてくれました。一色くんはセカンドオーサーながら4年生で大北くんに続いて2人目の論文著者となります。あとは浅子を残すのみ!なんとか年度内にアクセプトなるか! 話がずれましたが、いろいろな経緯があっただけに、久々に興奮したアクセプトとなりました。おめでとう!

山口潤一郎

関連リンク

TOP