脱芳香族化反応

ブロモアレーンの1,4-カルボアミノ化反応

Pd-Catalyzed 1,4-Carboamination of Bicyclic Bromoarenes with Diazo Compounds and Amines
Qikun Wu, Kei Muto, and Junichiro Yamaguchi
Org. Lett. 2022, ASAP.
DOI: 10.1021/acs.orglett.2c01233

ブロモアレーンとジアゾ化合物およびアミンとのパラジウム触媒による1,4-カルボアミノ化反応を開発した。この反応は、パラジウムカルベンを経て、π-ベンジルパラジウム中間体を生成し、位置選択的にブロモアレーンのイプソ位にC–C結合を、パラ位にC–N結合を形成できる。この変換を利用して抗癌活性化合物の迅速な合成に成功し、その合成上の有用性を実証を示すことができた。

武くんの2報目、そしてこれが初の筆頭著者論文です。ブロモアレーンに一発で炭素と窒素官能基を入れられます。なんとも珍しいブロモアレーンの1,4位を位置選択的に二官能基化できる唯一の手法を提供することができました。収率がなかなか上がらない&ベンゼンがどうにもこうにも変換できないなど、途中途中で苦しい場面が多く時間を要してしまいましたが、一件落着できてよかったです。個人的には抗癌活性をもつ既知化合物の短工程合成ができたのがお気に入りです。久しぶりに開発した反応でちゃんと有用な分子合成に展開できました。「この分子作ろうぜ」、って言ってからはすぐ合成完了できたので、いい反応なんだと思います笑

今回はこれで一段落ですが、武くんは今もっと面白いびっくり反応に挑戦しています。引き続き頑張ってくれることと思います。

おめでとう!

武藤慶

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