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UC Berkeleyに留学してみた final

みなさん、こんにちは、D3の会田です。

いよいよ学生最後の年ということで、論文ラッシュの年にしたいなと思っております。

 

さて、今回はタイトルに記載の通り、留学シリーズいよいよ最終章を書いていきます(part 1, part 2)。

本当に遠い記憶すぎて何を書こうか悩んでいるところですが、書いていきましょう。

 

今回ご紹介するのは、自分が留学中に携わった研究で、最近Nature Communicationsに出版した

Late-stage benzenoid-to-troponoid skeletal modification of the cephalotanes exemplified by the total synthesis of harringtonolide

(Nat. Commun. 2024, 15, 4125)です。

 

これはSarpong研で2020年頃にJACSに出されたCephanolide類の合成(J. Am. Chem. Soc. 2021, 143, 2710–2715.)に関する論文の続きです。合成経路については前回のJACS(J. Am. Chem. Soc. 2022, 144, 19173–19185.)と同じ経路にてCeforalide H-methyl etherを合成したのち、芳香環部位の環拡大を伴う増炭反応によりTroponoidであるHarringtonolideへ誘導しています。

今回の見所としては、合成のコンセプトはもちろんですが、この環拡大反応(Büchner–Curtius–Schlotterbeck reaction)だと思います(ここに自分が携わったので笑)。渡米後1ヶ月ほどかけて先端まで量上げを進め、ようやく先端の化合物まで合成してから条件の最適化に入りました。

でも、これが辛かった。。-78 °Cで反応させるのに、ドライアイスがないことがあったり、液体窒素は取りに行くのに面倒なトレーニングがあったり、6,70 gくらいのcrudeがカラム中で結晶化してその対処で1日を無駄にしたり、ラボ内での試薬の使い方が悪く再現が取れなくなったり、、、全く思ったように進みませんでした。

それでもラボにあるルイス酸を片っ端から試し、結局AlCl3が最適でしたが、なんとか選択性を1:1まで持っていくことができました。今回の論文では、この選択性についても計算化学を用いて考察していますので、ぜひご一読いただけると嬉しいです。

裏話

1 molスケールの反応だったり、ガスバーナーで反応系を炙る熱分解だったり、D1の最後になってもまだまだやったことないことだらけでとても楽しいことばかりでした笑

ちなみに最初の1 mol反応は収率2%?程度と散々で、ポスドクにwhat a fXXk!って言われてしまいました笑 いきなり暗雲が立ち込めて本当に怖かったです笑笑

 

最後に、今回の海外留学に際し、留学先のRichmond Sarpong教授をはじめ、留学中にメンターとして見ていただいたStefan、Sarpong研で同じ日本人ということで面倒を見てくださった秋山さん、留学費用を支援していただいた日本学術振興会、財団法人 里見奨学金、そして留学を快く許可して送ってくださった潤さん、英介さん、慶さん、カトケンさんに感謝を述べて留学体験記を締めたいと思います。

本当にありがとうございました。

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会田和広

D2
D3。学生最後の年。。

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