Palladium-Catalyzed Mizoroki−Heck Reaction of Nitroarenes and Styrene Derivatives
Okita, T.; Asahara, K. K.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Org. Lett. 2020 ,ASAP. DOI: 10.1021/acs.orglett.0c00983
SNAr反応により合成できるオレフィンをもつニトロアレーンの脱ニトロ型分子内溝呂木–Heck反応が進行すれば、有用な三次元骨格合成法になると考えられる。そこで、まずは脱ニトロ型溝呂木–Heck反応が進行するか確かめるべく分子間反応で検討を行った。その結果、ニトロアレーンとオレフィンを、Pd/BrettPhos触媒と塩基にRb2CO3を用いて、PhCF3溶媒中加熱撹拌することで分子間溝呂木–Heck反応が進行することがわかった。
大北X報(もうわからん)、淺原2報目。脱ニトロ型カップリング反応は京都大学の中尾研が開発した手法ですが、共同研究をきっかけとして、淺原くんのテーマとしてほそぼそと続けています。これは以前のC–NO2とC–Hの2つの活性化反応よりもさらに2年前に見つけていましたが、収率向上に至らずでした。中尾触媒、そして炭酸ルビジウムを塩基として用いると劇的に収率が向上することを見出しました。上述したように、本当にやりたいのは、分子内不斉脱ニトロ型溝呂木–Heck反応です。できれば有用物質の合成も絡めて再び報告したいと思います。文体は結構査読で修正が入りましたが(ChemRxivをみると違いがわかります)、論文は提出から2週間でオンラインにあがり、ほぼ最速記録でした。2人の共同研究です。おめでとう!
山口潤一郎
P.S. 最後のChemRxivのリンク、編集が間違えて、なぜか大阪大学の平野さん・三浦先生らの名前が。ゲラ刷りで訂正したのにも関わらず、そのまま上がりました(苦笑)。もう訂正できないので、そのまま放置しておきます。