前回のフランスに続き、降り立った地はイギリス、マンチェスター。それ以降のことをつらつらと書き綴っていきます。
12/12 マンチェスターへ
エールフランスでパリから飛ぶこと1時間半ほどで付きました。マンチェスター空港からマンチェスター市内まで20分くらいであっという間でした。ホテルに荷物をdropし、マンチェスター大ホストのIgorの計らいでLarrosa研のPabloとAlastairとマンチェスター市内を散策しました。フランスもそうだったん(だろう)ですが、クリスマスマーケットでどこも盛り上がっていました。そんな賑やかな中でランチにクリスマスパイ(ミートパイ)を食べました。これはイギリス料理だそうです。パイの中にジューシーなお肉が詰まっていて美味しく、そして意外とボリューミーでお腹いっぱいになりました。その後、マンチェスター大の歴史ある建物を紹介してもらいました。マンチェスター大はちょうどこのとき卒業式で、大学はアカデミックガウンで溢れてました。そんな卒業生に混ざり、近くの大学グッズの店で土産を買った後、ホテルで少し休みました。夕飯はIgorに誘ってもらい、近くのイタリアンへ。日本のアカデミックの事情やら、以前早稲田でホストしたときの思い出話に華を咲かせ、心地よい気分でホテルに戻り就寝しました。
12/13 マンチェスター大学訪問
マンチェスター大へ。Igorに迎えに来てもらい、オフィスへ。まず、Larrosa研のドクター二人の研究発表を聞きました。とっても便利なルテニウム触媒の開発と、驚きのbiocatalysisの研究について聞かせてもらいました。その後若手のAaron Trowbridgeと30分強ディスカッション。単純だけど興味深い光反応のお話を聞きました。その後、Aaron、Turner研のポスドクGeorgiaと大学のカジュアルレストランでランチ。二人ともGaunt研出身で、彼らが在籍時に知り合いが何人かいたので彼らの思い出話等も交えて、あっという間のランチタイムでした。ランチ後、Proctor教授に最新のSmI2化学をご紹介頂いた。まさに英国紳士とは彼のことか。めちゃくちゃ紳士で大好きになりました。その後、講演。Igorが早稲田訪問した際のスライドも入れ込んで話しました。メカニズムの質問が大量で、答えに苦しみつつも無事終了。講演後、会議で出られないと直前にメールを貰っていた若手Micheal Jamesが講演になんとか間に合って、駆け込みで挨拶してくれたのがなんか嬉しかった。Mikeともディスカッションし、もっと親睦を深められたら、とも思いました。さて、講演後、Micheal Greaney教授とdiscussion。NHC触媒を使ったアジンの変な反応を紹介いただきました。伊丹研のときから僕の研究に深く関わる論文を多数出していたので、その時のあれこれも含めて盛り上がりました。マンチェスターでの最後のdiscussionはノリノリのJordi Bures教授。速度論VTNAで著名な彼に、それに関する内容を紹介いただいたんですが、ホワイトボードも使いながらみっちり講義を受ける結果に笑。おかげでVTNAの理論から理解できた気がします。ホットなディスカッションをマンチェスター大で楽しんだ後は、Igor, Jordiとバスク料理の食べられるお店へ。バスク料理に興奮しつつ、Jordiのフットワークの軽さに笑い、楽しいディナータイムでした。Igor, Jordi、そしてRuben (ICIQ)はみなバルセロナ大出身で、大の仲良しだそうです。このディナーでそれをひしひしと感じました。
12/14 マンチェスター→サウサンプトンへ
電車でサウサンプトンへ。IgorもJordiも言っていましたが、イギリスの電車は高額な上に遅く、4時間半かけてようやく到着。日本だと東京ー神戸間くらいの距離だそうだ。ホテルにチェックインし、少し仕事をし、サウサンプトンのホストGregにディナーに連れて行ってもらった。ここで食べたのは、イタリアン。全然ブリティッシュ料理食べてこない笑 出身の伊丹研の話やGregが日本にいたときのあれこれを話しました。このディナーで、Gregが3月に日本にくる(妻が日本人)予定があると聞き、じゃあ早稲田で講演してよ、と口約束をし、ホテルへ帰宅。後日談ですが、3/28に実際にGregを招いて講演してもらうことができました。
12/15 サウサンプトン大学訪問
Gregにタクシーを手配してもらい、ホテルからサウサンプトン大学へ。タクシーの運転手が、トヨタ車で、僕の出身が豊田だと伝えると、最近導入したドラレコが日本語しかなくて困ってるから設定してくれ、と言われ、設定してあげました苦笑 今回のサウサンプトン訪問は、Gregが日本を離れサウサンプトンでポジションを得たときに、彼と「次はサウサンプトンで会おう」交わした約束を叶えたものになります。大学について、いきなり講演開始。40人ほどの部屋にみっちり集まってもらい、さすがに4回目なので自信をもって話せました。その後、Simon Coles教授、Richard Brown教授とランチを共にしました。今回の講演旅行、4大学すべてランチでワインorビールを飲みました。いい文化ですね。その後、Brown教授と電解合成の話をdiscussionし、Richard Whitby教授にフラーレンの化学修飾を紹介いただきました。その後、Sam Thompson教授のパーキンソン病やアルツハイマーに効く低分子の研究を紹介いただきました。武田薬品と共同で関連研究を出していたので盛り上がりました。Gregとdiscussionし、その後David Harrowven教授とdiscussionした後、最後、Gregの学生とdiscussionしました。サウサンプトン大でうらやましいと思ったのが、学科に工房があること。例えば、「この径の穴の空いたアルミブロックがほしい」、と言えばすぐ作ってくれるそうで。さすがにタダではないものの、日本の半額以下の金額ですぐ作ってくれるそうです。うらやましい。サウサンプトン大を後にし、Greg、Davidの三人でタイタニック号が出港した港付近のレストランへいきました。ここでもスペイン料理を楽しみ、お腹いっぱいになって帰路につきました。
12/16 日本へ
サウサンプトンからヒースローまで1時間半、電車に揺られて到着。2回乗り継ぎましたが、一本目の電車が遅れ、見事に乗り継ぎ失敗。時間に余裕をもっていたので問題なかったのですが、慣れないので内心ドキドキでした。妻のおかげのSFC会員なので、優先チェックイン、ヒースローの航空会社ラウンジを2つ満喫し、ほろ酔いで搭乗しました笑 United航空とルフトハンザのラウンジを楽しんだのですが、Unitedのほうはもはやパブのようでした。Unitedのラウンジでシャワーでさっぱりした後、ターキッシュ・エアラインズに乗り込みました。またイスタンブールを経由し、12時間弱で東京へ。イスタンブールのラウンジ、行きよりもご飯が少なく、往路で食べられなかった料理・ケーキを回収しようと意気込んでいたのに撃沈されたのが唯一の心残りです。その分ワインを飲みました。
イギリスまとめ
ロンドンとか行ってないし観光もほぼできていませんが、今回感じたことをまた書いておきます。
· 気候:正直寒かったです。雪はそんなに降らないらしいです。旅行に嵩張るダウンはもっていかない主義ですが、コンパクトにできるウルトラライトダウンがあって助かりました。某熊◯先生が上着なしで臨んだことを思うと信じられません。
· 電車:Trainlineというアプリを入れてチケットを購入しました。電車賃は高いです。そして遅いです。新幹線なら2時間半の距離が4時間半。金額は倍以上。やはり時間通りには来ない、電車はどんどん遅れる、といった具合で、予約した乗り換え電車 (指定席も)には乗れませんでした。ここも乗り越し厳禁。
· 食事:イギリス料理をあまり食べていない苦笑。唯一食べたのは上で貼ったクリスマスパイ。とてもおいしかったです。
· 治安:全く気になりませんでした。ホームレスも見かけず、きれいで安全でした。
· 携帯: ahamoだったので何も困りませんでした、と言いたいところですが、しばしば繋がりませんでした。しかし、通信会社がいくつか選べた(vodafone, O2, EE など)ので、それを選択し直すことで回避することはできました。各社、地域によって電波の強い弱いがあるようです。
· お金:全体的に高く感じました。Gregが「日本に来る前はそんなに物価の差を感じなかったが、今はイギリスは高くなった」と言っていました。その分給料も上がっていて問題ないそうです。しかし、間髪入れず「日本もそうなんでしょ?」と言われてしまいました。日本は物価が上がったのではなく、単純にモノの単価があがり、給料は据え置き(僕だけじゃない、と信じている)、どんどん海外出張は財布に厳しいものになる、という愚痴を聞いてもらいました。増税メガネめ。
· ホテル:マンチェスターのホテルは最高でした。文句なし。サウサンプトンのはそこそこで、ちょっと壁が薄かったです。上の階のアレが聞こえてしまいました。。。朝ごはんはどちらもおいしかった。
総じて、あっという間の10日間でした。年末の忙しい中、みな時間を作ってくださり、気さくに、そして紳士にもてなしていただきました。現地で新たな人脈も形成でき、僕も一層頑張らねばと意を新たにする最上の機会となりました。コロナも過ぎ去り、世の中は通常営業。日本への来訪者もどんどん増えると思いますが、その出会いを大切に全力接待、そしていい化学を紹介したいと強く感じました。
末筆ながら、領域代表大嶋先生、担当の潤さんにあらためて感謝申し上げます。そして、良い結果を必死に創出してくれる共同研究者の学生のみんなへ感謝し、筆を置きます。
武藤慶
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