Pd-Catalyzed C4-Dearomative Allylation of Benzyl Ammoniums with Allyltributylstannane
Kayashima, Y.; Komatsuda, M.; K.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Chem. Lett. 2020, Advanced Publication. DOI: 10.1246/cl.200216
ベンジルアンモニウムとアリルスズのC4位脱芳香族的アリル化の開発に成功した。パラジウム触媒がベンジル位C–N結合を切断し、生じるベンジルパラジウム錯体とアリルスズとの特異な反応が本手法の鍵である。生成する脱芳香族化体は酸化反応を用いて、C4位がアリル化された芳香族化合物や脂環式化合物へと変換できる。これまでに開発されたベンジルアミン(アンモニウム)のオルト・メタC–H変換反応と本手法を組み合わせ、C4位がアリル化された多置換環状化合物の合成を実現した。
茅嶋の一報目。小松田は5報目。ベンジル位結合切断型の脱芳香族的反応のアンモニウム版です。反応がうまく進めばトリメチルアミンが発生し、収率がいい反面、まわりからニオイを非難されるという茅嶋らしい立ち位置で実験してくれました(笑)。ベンジルアンモニウム(アミン類)を原料とする利点を追い求めた結果、C3位ボリル化–脱芳香族アリル化の組み合わせを実現できたのは個人的にお気に入りです(化合物の不安定性から収率には課題はありますが)。茅嶋は2019年度修士卒ですが、研究室最後の登校日に論文投稿できた思い入れ深い論文です。論文審査もスムーズに進み、Chem. Lett.のEditor’s Choiceが内定しています。おめでとう!
武藤 慶