Identification of α-Synuclein Proaggregator: Rapid Synthesis and Streamlining RT-QuIC Assays in Parkinson’s Disease
Fumito Takada, Takahito Kasahara, Kentaro Otake, Takamitsu Maru, Masanori Miwa, Kei Muto, Minoru Sasaki, Yoshihiko Hirozane, Masato Yoshikawa*, and Junichiro Yamaguchi*
ACS Med. Chem. Lett. 2022, ASAP
DOI: 10.1021/acsmedchemlett.2c00138
α-シヌクレインの凝集体はパーキンソン病の原因物質の一つと言われる。この凝集体をバイオマーカーとして効率的に検出できればパーキンソン病の診断ツールとなりうる。一方、PA86はα-シヌクレインの凝集促進作用をもつ珍しい分子として知られる。しかし、その凝集促進活性は低く、診断ツールとして活用するには不十分であった。今回、武田薬品と共同で、PA86の構造活性相関研究を通じ、強い凝集促進活性をもつTKD150とTKD152を見いだした。鍵は、ベンゾオキサゾールとハロアレーンとのC–Hカップリングによる迅速な類縁体合成手法を用いたことである。
武田薬品工業との共同研究第二弾です。現在D2の代で、修士で卒業した高田くんがメインテーマとしてやっていた研究です。パーキンソン病のバイオマーカーをつくるというキャッチーなお仕事で、我々が得意としているアリールベンゾオキサゾール構造をもっていたことから共同研究が開始されました。なんとか凝集促進作用が強い化合物を見出すことができて、論文化になりました。わかるひとはわかると思いますが、実はもっと強い活性のあるものも見出しており、すでに研究現場で実用化されています。
そして、これは外に出せる範囲の共同研究。出せる、出せないの割合は圧倒的に出せないもののほうが多いです。今回の共同研究はベースとなる化合物がすでに論文として報告されていたので、まあまあ良かった化合物に関しては論文として公開可能でした。こういうお仕事を嫌がる先生や学生もいると思いますが、僕はかなり好きです。自分たちの化学や能力を実用なところで活用していく研究なんで。特に学生は実用化を目指して企業へ!と言っている人が多いので、まさにマッチングしてますよね。
結局は吉川さんをはじめとする優秀な武田薬品工業の方々と論文を一緒に出せたことが一番うれしいんですけどね。ぜひご覧いただければ幸いです。
山口潤一郎