Synthesis of A Pentaarylcarbazole: Installation of Different Aryl Groups on Benzenoid Moiety
Tanaka, S.; Asako, T.; Ota, E.; Yamaguchi, J.
Chem Lett. 2020, Advanced Publication
DOI 10.1246/cl.200302
天然物に多くみられる多置換カルバゾールアルカロイド類は多様な生理活性を示すことから、全合成研究が精力的に行われてきた。しかし、望みの位置に望みの置換基を導入可能な合成手法は確立されていない。一方、当研究グループでは、5員環ヘテロ芳香族化合物のカップリング反応と環変換反応を組み合わせた、マルチアリール芳香族化合物のプログラム合成法を確立している。さらに最近、この合成戦略を基盤としたヘテロ芳香族化合物合成法を開発し、ヘプタアリールインドール(HAI)の合成に成功した。今回、本手法をカルバゾールに適用し、ペンタアリールカルバゾールの合成を達成した。
2-ブロモチオフェンを出発物質とし、逐次的なカップリング反応とチオフェンの酸化、チオフェン2位の芳香族置換基上へのイナミド部位の導入、続く分子内[4+2]付加環化反応によって、テトラアリールカルバゾールを合成した。その後、カルバゾールの窒素原子を芳香族求核置換反応によってアリール化することで、全てのアリール基が異なるペンタアリールカルバゾールの合成に成功した。本手法は、様々なアリール基で高度に置換されたカルバゾールを位置選択的に合成できる。
田中・浅子の共同合作ファイブスター。本当はカルバゾールに全部にアリール基いれたかったんですが、思ったよりも収率が悪くファイブスターで断念しました。以前作ったヘプタアリールインドールに合成法はそっくりですが、意外とむずかしい。新しい化合物よりも、これってほとんど同じでできるよね?と言われている化合物のほうがプレッシャーが強いことが学生時代の思い出から理解できる。しかも、意外とうまくいかないところも。そして、実は最後の1つはN上であることも。せっかく作ったマルチアリール化合物シリーズなので、Chem Lettに出しました!日本の化学誌への貢献のため毎年最低ChemLett1報を断言しておきながら、最近出してなかったんで、今年は2報もだせて嬉しい限り。既に、二人は「テンスター」を合成しもうすぐ報告する予定です。おめでとう!
山口潤一郎