お久しぶりです。M1の川邉です。年の瀬が近づいてきましたが、なかなか研究に進展がなくて焦りを感じているところです。
さて、早稲田周辺にラーメンや油そばの店が多いことは周知の事実ですが、欠かせない存在がニンニクです。しかし、山口研では夜も実験するためなかなかニンニクを入れることはありません(普通に食べている人もいますが…)。
- Life is better… from Yume Wo Katare (実はまだ食べたことがないので公式SNSから)
- 武蔵野アブラ學会
そんなある日、私が合成した化合物がやたらニンニク臭く、エバポレーターで濃縮すると辺り一体がニンニクに染まったことがありました。確かニンニクの香り成分も似た構造だったような…と思っていろいろ調べてみました。
ニンニクの香り成分には複数の種類があるものの、有名なのが「アリシン」という化合物です。ニンニクが刻まれることでアリインというアミノ酸が酵素によって分解され、アリシンとなることで臭いを発するようになります。加えて、これらの成分がさらに分解、反応することでさまざまな化合物になり、それぞれニンニクのような香りを放つそうです。

ニンニクの香り成分の例
これらの化合物の構造を見てみると、多くの化合物がS-アリル構造をもっています。私の合成した化合物もS-アリル構造をもっているので、ニンニクの香りがしたのでしょう。
ここ一年、硫黄化合物の臭さと闘ってきた私ですが、ニンニクのような身近なものの香りになったのは初めてで少しテンションが上がりました。ただ、髪の毛などに匂いが染み付いて、帰りの電車で「この人ニンニク臭いな」みたいに思われそうで不安です。
参考: H.- Omar, S.; Hasan, A.; Hunjul, N.; Ali, J.; Aqil, M. Historical, Chemical and Cardiovascular Perspectives on Garlic: A Review, Pharmacognosy Reviews 2007, 1, 80–87.
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