Pd-Catalyzed Dearomative Allylation of Benzyl Phosphates
Komatsuda, M.; Muto, K.; Yamaguchi, J.
Org. Lett. 2018, ASAP.
DOI 10.1021/acs.orglett.8b01807
我々はパラジウム触媒存在下、アリルボラートやアリルスズを反応させることで、ベンジルアルコール類の脱芳香族的アリル化が進行することを見出した。ベンゼン環の置換基上の結合切断を起点としπ-ベンジル錯体中間体を生成させることが本反応の鍵である。反応の起点となるベンジル位C–O結合切断を促進する高電子供与性ホスフィン配位子を用いることで本反応が効率的に進行することがわかった。
小松田待望のfirst author1報目。既に別テーマでは1報論文を出しているものの、彼のメインテーマはこれ。「分子をぶっ壊す」テーマの一環で「芳香族性を壊す」という課題で、ベンジルアルコール類の脱芳香族的アリル化反応を開発しました。πベンジル錯体は既に知られているものの、それをアルコール誘導体で行ったところがオリジナルです。本テーマは武藤講師のテーマであり、記念すべき責任著者1報目です。すぐに最適条件は見出したものの、化合物の不安定性や誘導化に時間がかかりました。屈強かつ、かしこい小松田にしかまとめることができなかったと断言できます。本テーマはいまだ、プルーフオブコンセプトの段階。テーマのチームリーダーとして研究を牽引してくれることを期待します。おめでとう!
山口潤一郎